空き家になっている実家を相続する。これは誰にでもありえてしまう話ですよね。sかし、実際に相続の必要が出た場合にはしっかりとした空き家対策が必要になります。ここでは、国内で実際に行われている空き家対策や空き家を有効活用する術を一挙にご紹介していきます。
空き家対策は着実に進んできている
実は今、平成27年に完全施行された空家対策特別措置法によって、実態調査を多くの自治体で行っており、空き家等対策計画を策定しています。これにより着実に空き家対策計画は策定が進んでいます。なお、2016年度の場合、3561件が計画に基づく助言・指導、19件が命令、36件が代執行として行われています。
埼玉県所沢市が2010年に空き家対策条例を制定した
一般の人は、ここ数年で空き家問題に関心を持つようになりました。空き家問題に対して初めて条例が制定されたのは、埼玉県所沢市の「所沢市空き家等の適正管理に関する条例」(2010年10月施行)です。この条例が施行される前は、明確に担当部署がなっていない、法的根拠が持主に対する指導に対して無いということが障害になって、苦情に対して行政としては対応できない状況が継続していました。
しかし、所沢市の場合は、条例を制定して、勧告に従わなければ名前を公表して、警察などに最終的に頼んで撤去もできるようにしました。そのため、空き家の撤去は、従来は年に数件くらいでしたが、10件以上になって条例の効果があったのです。この条例が制定されたことによって、空き家対策条例が全国で制定されるようになりました。
空き家問題は東日本大震災から防災対策として関心が高い
それぞれの自治体の条例の中で、着目すべきは「足立区老朽家屋等の適正管理に関する条例」という条例です。ある住宅にて、外壁タイルの補修を3年がかりで求めていたのにも関わらず行われなかったことによりタイルが落下し、区内で問題提起がされていたまさにその時に、東日本大震災が発生し、その後すぐに制定されました。
条例内容としては、住宅を足立区の勧告で解体する際、9割の解体費、100万円の上限までを補助するというものです。東日本大震災のすぐ後に条例が制定されたこともあって、実績が相当あります。
空き家対策条例は、いろいろな目的がありますが、足立区などの都市部の下町地域の場合は安全面の防災、防犯などの確保が大切です。木造家屋が密集している地域の場合は、火災が一軒発生すれば多大な影響を周りに与えるため、一軒の解体によって延焼を防止することができます。首都圏の他にも多くの都市で木造家屋が密集している地域があるため、足立区のケースは参考になるでしょう。
しかし、効果はあるでしょうが、個人の財産で空き家を解体するために公費を使うことに疑問を持つ人も多くいるでしょう。自治体の場合は、実力を命令に従わせるために使う方法があります。この方法は、行政代執行というもので、持主が命令に従わない場合は、行政が代わりに家を撤去などして、持主にこの費用を請求するものです。
しかし実際のところ、費用は代執行では回収できない場合が多くあります。空き家は代執行によって撤去できても、費用回収ができない場合と平和的に助成で撤去してもらう場合を比較し、費用をいずれにしても負担する必要があるのであれば足立区としては後者のほうがいいと判断したのでしょう。
空き家対策=撤去なのか
実際のところ、空き家対策は撤去するのみではありません。住む人を新たに探す方法もあるだろうということで、空き家バンクが相次いで2005年から設立されました。
地域活性化センターが2010年に調査した結果では、約54%の市町村、約26%の都道府県が空き家バンクをそれぞれ開設しており、人口が非常に少なくなっている過疎地でよく開設されています。しかし、実績は残念ですが少なく、開設してから全く成約が無い自治体が約27%もあるほどです。
空き家問題は、残念ながら空き家バンクだけでは解消されません。島根県雲南市の場合は割合成功していますが、ワンストップで空き家情報を集めることから定住した後の相談までをサービスする専門の定住推進員という担当者の配備、空き家の一部の改修費の負担などの取り組みが成功の理由です。
空き家の利用に関しては、新しい東京都世田谷区の取り組みにも着目しましょう。空き家等地域貢献活用相談窓口を世田谷区は開設しました。地域の財産として空き家を利用するもので、世田谷らしい空き家等の地域貢献活用モデル事業も窓口の開設と一緒に募集しました。新しい空き家の利用方法がこのような画期的な方法によって生まれると面白いですね。
空き家を有効活用する方法とは?
相続で空き家を持つようになった場合、空き家はどのように利用すればいいのでしょうか? ここでは、空き家を利用する方法についてご紹介しましょう。
空き家を最も簡単に利用する方法としては、第三者に居住用としてそのまま賃貸することが挙げられます。空き家そのものの状態によっても違いますが、不備や故障が特に無い場合はクリーニングして貸すといいでしょう。また、空き家そのものの状態が良くない場合は、リフォームや修理を最低限して貸すようにします。
貸す場合は、シェアハウス、戸建ての賃貸、民泊、貸工房、貸店舗などとして利用することが挙げられます。また、利用する方法としては、賃貸住宅などに建て替えるものもあります。このように利用する場合は、空き家を解体して新しく住宅を建てる費用がかかるため、例えば、収支が都市部の高い賃料の地域でなければ合わないことがあります。
このように利用する方法は空き家の全てに当てはまらないため、採用する際は前もって収支計画をしっかりと立てることが必要です。また、空き家を解体して更地で利用するものもあります。更地であれば、土地を駐車場や事業用で貸す利用する選択肢もあります。
空き家を相続する際はどうするか?
長期間住んでいない、あるいは全く住んでいないような実家は、誰も相続したくないでしょう。そのため、実家を相続しない場合は、選択肢としては相続放棄というものがあります。
手続きが相続放棄をするためには必要で、被相続人が亡くなったことが分かってから一定の期間内に相続放棄を申請する必要があります。この期間内にもし相続放棄が申請できない場合は、期間延長の申立をします。
相続放棄の場合は、同時に財産の全てを放棄するようになります。そのため、例えば、相続放棄を空き家はするが、有価証券や現金は相続放棄したくないということはできません。
一般的に、相続した空き家を処分したいという場合は売却になります。特に、地方の場合は、年々不動産の価格は下がってきます。そのため、空き家を売却するのであれば、早く売る方がいいでしょう。
現在すぐに空き家に住む見込みがない中で、将来的に子供や自分などが住むようになるかもしれない場合は、維持管理を定期的に行いながら持つというのもいいでしょう。あるいは、心情的に売却したり、賃貸したりすることがどうしてもできないのであれば、空き家に一旦住むという方法もあります。実際に住む場合は修繕やリフォームが必要になりますが、このような場合に多くの自治体が助成金や補助金を出しているため、前もって十分に調査しておきましょう。