不動産の土地を相続した場合は、相続税がどの程度かかり、相続税をどのように計算すればいいか分からなくて悩んでいる人もいるでしょう。実は、不動産の土地だけの相続税は、次のようにして計算する必要があります。
・土地や預貯金などの遺産の全てのトータル額を決める
・この遺産の全てのトータル額によって税率が決まる
ここでは、相続する遺産のトータル額を把握する、相続税のトータル額を計算する、土地だけにかかる相続税を計算する、相続税を計算するシミュレーションソフト、についてご紹介します。この記事を読めば、不動産の土地だけかかる相続税が分かります。
相続する遺産のトータル額を把握する
遺産のトータル額としては、土地や現金、預貯金だけでなく、借金やゴルフ会員権なども含まれます。しかし、概算の遺産のトータル額を把握したい場合は、次のような3つの遺産のトータル額を計算すると問題ありません。
土地の価額
概算の土地の相続税評価額は、自宅に毎年届く固定資産税評価明細書に書かれている固定資産税評価額に1.14を掛けたものになります。では、どうして固定資産税評価額に1.14を掛けたものが概算の相続税評価額になるのでしょうか?というのは、土地の相続税評価額は時価の8割くらいになっていますが、土地の固定資産税評価額は時価の7割くらいになっているため、固定資産税評価額に約1.14を掛けたものになるからです。相続税評価額よりも固定資産税評価明細書の固定資産税評価額は低くなっているので、1.14を必ず掛けましょう。
現金や預貯金
自宅にある現金や銀行の預貯金のトータル額です。
生命保険
被相続人が生命保険に入っていた場合は、保険金額になります。
概算の遺産のトータル額を計算する事例
例えば、相続財産が次のようなケースとしましょう。
- 固定資産税評価明細書の固定資産税評価額が5,000万円
- 自宅の現金が1,000万円
- 銀行の預貯金が1,500万円
- 生命保険の保険金額が3,000万円
この場合の遺産のトータル額は、5,000万円に1.14を掛けたものに1,000万円と1,500万円と3,000万円をプラスした1億1,200万円になります。このように、全ての遺産をトータルすれば、概算の遺産のトータル額が計算できます。
相続税のトータル額を計算する
どのように遺産を分割するかは、相続人が話し合いを行って作る遺産分割協議書や遺言書の内容などで違ってきます。しかし、どのように分割しても同じ相続税のトータル額になるように、相続税額は民法で決まった法定相続分通りに分割したとして、それぞれの相続人で計算したものをトータルします。なお、法定相続分に応じる取得額と税率、控除額の関係を示した相続税の速算表は次のようになっています。
法的相続分に応ずる取得金額 | 税率 | 控除額 |
1,000万円以下 | 10% | ‐ |
1,000万円超~3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
3,000万円超~5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
5,000万円超~1億円以下 | 30% | 700万円 |
1億円超~2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
2億円超~3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
3億円超~6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
6億円超 | 55% | 7,200万円 |
土地だけにかかる相続税を計算する
相続税のトータル額は、後でご紹介する相続税のシミュレーションソフトで計算することができます。相続税のトータル額を計算することができれば、土地だけにかかる相続税を計算することができます。土地だけにかかる相続税は、相続税のトータル額に遺産のトータル額に対する土地の比率を掛けて計算します。
ここでは、5,700万円の土地と1,000万円の現金を、2人の子供の兄・弟で相続したとします。相続税のトータル額を相続税のシミュレーションソフトを利用して計算すれば、次のようになります。まず、遺産のトータル額は、5,000万円に1.14を掛けたものに1,000万円をプラスした6,700万円になります。相続税のシミュレーションソフトを利用して計算すると、相続税のトータル額は275万円になります。土地だけにかかる相続税を把握するには、遺産のトータル額の中における土地の比率を計算して、この比率を相続税のトータル額に掛ければ計算することができます。
つまり、土地価額を遺産のトータル額で割って、遺産のトータル額に対する土地価額の比率を計算して、これに相続税のトータル額を掛けて土地だけにかかる相続税を計算します。土地だけにかかる相続税を計算する具体的な方法は、次のようになります。土地の価額の5,700万円を遺産のトータル額の6,700万円で割ると、85%の比率になります。土地だけにかかる相続税は、相続税のトータル額の275万円に比率の85%を掛けた233万円になります。
相続税を計算するシミュレーションソフト
相続税を計算する際は、シミュレーションソフトを利用するのがおすすめです。
相続税のシミュレーションソフトを利用する前に準備するもの
相続税を計算するためには、遺産のトータル額などの数値を準備する必要があります。概算の計算であるため、細かな生命保険などの数値は準備する必要はありませんが、最低でも次のようなものを準備する必要があります。
遺産のトータル額
被相続人が、遺産をどの程度残しているかで、遺産としてはプラスのものもマイナスのものも全て含めたものです。一般的に、遺産のトータル額は、亡くなる前の3年以内の贈与財産や非課税財産などを差し引いて計算します。概算の遺産のトータル額をすぐに把握したい場合は、被相続人の土地の金額と預貯金だけでも問題ありません。
配偶者の有無
配偶者が被相続人にいるかどうかで、夫・妻が配偶者になります。
配偶者が遺産を相続する比率
どの程度配偶者が遺産を相続するかという比率を把握する必要があります。というのは、配偶者が相続した財産に関しては、相続税が課税されない特例があるからです。まだ比率がはっきりしていない場合は、目安として50%にしましょう。
配偶者を除いた法定相続人の続柄
法定相続人というのは、相続することができる親族で、子供や孫になります。
配偶者を含む法定相続人数
調査した法定相続人のトータルの人数で、1人でも人数が違えば計算が変わるため、正しく把握する必要があります。
相続税のシミュレーションソフト
ここでは、ネットにある相続税のシミュレーションソフトをいくつかご紹介しましょう。
相続税計算シミュレーション
法律が平成26年に改正されたので、相続税は法律の改正前後で違っています。法律の改正前後にも対応しています。実際に利用した人の意見としては、直感的に理解でき簡単に利用できた、単語が分からない場合はすぐに同サイトで調査できることも良かった、などがあります。
相続税・贈与税・遺言の計算プログラム
概略の計算がやりやすく、項目が多くないものです。実際に利用した人の意見としては、項目が多くないので良かった、簡単であるためすぐに計算できた、などがあります。
相続税自動計算機
項目が多くなく、概算がすぐに分かります。実際に利用した人の意見としては、知っている数値を入力するのみであったため簡単であった、相続が法律が改正された後に発生したため、計算が本当に間違いないかちょっと不安であった、などがあります。
相続税計算シミュレーションツール
ちょっと細かくなっていますが、決まった項目を入力するだけであるため、分かりやすいイメージです。実際に利用した人の意見としては、数値を順番に入力するのみで計算できました、相続税が全く分からない自分には困難な項目が多くありました、などがあります。