不動産を相続すると、基本的に確定申告が必要になります。実は、不動産を相続しても必ずしも確定申告が必要ではありません。ここでは、遺産相続した際の確定申告、収入がある不動産を相続した場合、相続税は全ての相続人が支払うか?相続後の所得税の確定申告手続き、についてご紹介します。この記事を読めば、不動産を相続した際の確定申告が分かります。
遺産相続した際の確定申告
遺産相続すると、相続税を申告する必要があります。しかし、相続税の申告は、遺産相続した全ての人が行うということではありません。相続税を申告する必要があるのは、遺産額が基礎控除額をオーバーした場合です。基礎控除額というのは、600万円に相続人数を掛けたものに3,000万円をプラスしたものです。そのため、例えば、1人の相続人の場合は、遺産額が3,600万円以上ないと相続税の申告は必要ありません。
また、遺産相続すればお金が入手できるため、収入であると思って、所得税の確定申告をする人がいるかもしれませんが、これは間違っています。所得税の確定申告の場合は、個人の収入についてのものであり、相続のように他の人から対価もなくてもらった場合は、相続税や贈与税がかかります。そのため、遺産相続の場合は、基本的に所得税の確定申告は必要ありません。なお、遺産相続によって、確定申告する際の手続きが次のように普通とは違う場合があります。
収入がある不動産を相続すると所得税の確定申告が必要である
駐車場や賃貸マンションなどのように収入がある不動産を相続すると、収入について所得税の確定申告が必要になります。例えば、駐車場を持っていた父親が亡くなると、駐車場を相続した相続人が所得税の確定申告をする必要があります。なお、準確定申告というのは、父親の被相続人の収入について確定申告することで、亡くなった日から4ヶ月以内に行うことが必要です。
普通の確定申告と同じように、相続人の確定申告は次の年の3月15日までになります。なお、相続人が被相続人の賃貸不動産などを相続する際は、必要な手続きがいくつかあります。特に、賃貸不動産などを相続した相続人が青色申告になる場合は、書類を出す期限があるため注意する必要があります。例えば、青色申告を被相続人が行っており、相続が1月~8月に発生すると、書類を出す期限は相続が始まった日から4ヶ月以内になります。なお、もっと詳細に把握したい場合や別のパターンについて把握したい場合は、ネットなどで紹介されているため参考にしましょう。
相続不動産を売ると所得税の確定申告が必要である
相続した不動産や有価証券などを売ると、所得税の確定申告が必要になります。しかし、売る時にかかる税金を非常に節税できる「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」が、適用になる場合があります。この特例は、相続税が相続財産にかかる場合に、かかる一部の相続税を売る際の税金から差し引きすることができるものです。不動産を売る際の税金は、売った金額から買った金額を差し引いたものに税率を掛けて計算しますが、買った金額である取得費にプラスして一部の相続税がプラスできるものです。プラスできる相続税は、相続財産の価額を相続税の課税価格と債務控除額をプラスしたもので割って、さらに相続税額を掛けて計算します。
相続財産を寄付すると所得税の確定申告が必要である
相続財産を寄付すると、確定申告によって節税ができます。寄付先などの条件に該当すると、一定額を相続税から控除できる寄付金控除が適用されます。しかも、寄付金控除が適用されるだけでなく、相続人の所得税からも2重で一定額が控除されます。しかし、所得税の確定申告をしないと、寄付金控除が適用されないため注意しましょう。
寄付先としては、地方公共団体や国、あるいは特定公益増進法人の赤十字やユニセフなどの決まったところにする必要があります。なお、寄付金控除について詳細に把握したい場合は、ネットなどで紹介されているため参考にしましょう。
収入がある不動産を相続した場合
収入がある賃貸マンションなどの不動産を相続した場合は、この収入は所得になるため確定申告が必要になります。しかし、相続する際には、不動産は誰の所有権であるかが明確にならない場合もあります。このような場合は、不動産は遺産分割協議が終わるまでは全ての相続人が共有するので、所得税を法定相続分によって納めるようになります。
遺産分割協議がまとまれば、それぞれの相続人が所得税を計算して納めます。不動産を1人が管理する場合は、その人の収入として確定申告して、遺産分割協議がまとまってから、それぞれ相続分に所得を合計するようにして所得税を納める方法であれば、税務調査によって修正が必要になることもあるので注意しましょう。
相続税は全ての相続人が支払うか?
相続税は、全ての相続人が支払う必要があるということではありません。相続税の場合は、税金が免除される基礎控除というものがあります。基礎控除額は、600万円に法定相続人数を掛けたものに3,000万円をプラスしたものになります。例えば、妻と2人の子供が法定相続人の場合は、600万円に3人を掛けたものに3,000万円をプラスした4,800万円が基礎控除額になります。
また、死亡退職金や生命保険金の場合は、法定相続人数に500万円を掛けたものまでは課税されません。なお、正味の遺産額としては、不動産の建物や土地、預貯金などのプラスの遺産から、債務の未払金や借入金などのマイナスの遺産を差し引きしたものになります。遺産額から差し引きできる、被相続人が亡くなる前に通っていた病院の未払い医療費や個人でもらった香典や葬儀費など、お寺のお布施などは、大切に領収書などを残しておきましょう。
相続後の所得税の準確定申告手続き
相続後の所得税の準確定申告手続きとしては、主として次のような方法があります。
税務署で自分で行う
全国各地にある税務署では、確定申告の2月頃の時期になれば確定申告の相談窓口が毎年設けられます。実際に税務署に行く必要がありますが、資料などを持って行って確定申告書を作る際にアドバイスしてもらいながら確定申告をすることができます。しかし、大きな金額になる場合や複雑な場合は、税務署では対応することが難しいということで税理士に頼むように言われる場合もあります。
国税庁のホームページで電子申告する
所得税の確定申告書は、国税庁のホームページで作ることができます。しかし、確定申告についての知識がある程度なければ、確定申告書を1人で作るのは難しいでしょう。
税理士に頼む
先にご紹介した税務署で自分で行う方法や国税庁のホームページで電子申告する方法は、やはり初心者の場合は困難でしょう。このような場合は、税理士に頼む方法がおすすめで、手続きとしては最も時間も手間もかかりません。しかし、税理士に頼む場合は、内容によっても違いますが、手数料がかかります。最も簡単な場合でも5万円くらいの手数料がかかることがデメリットになりますが、時間も手間もがかからなくて確実で安心な方法であると言えるでしょう。例えば、収入が大きな金額であったり、確定申告の手続きをする暇が忙しくてなかなかなかったり、自分で確定申告書を作るのが不安であったりするなどというような場合は、税理士に迷わないで頼むようにしましょう。