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不動産売却時に得られる譲渡所得税はどのくらい?

不動産を売却して利益が出ると、売却益が特別収入となります。そのため、譲渡所得税を納付する必要があります。どのくらいの額になるのか、節税はできるのか、調べてみました。

不動産売却に伴う譲渡所得税とは

 不動産を売却して利益が出た場合には、譲渡所得税を払います。譲渡所得税は、他の所得税と同様、所得が生じた後、直近の2月25日~3月25日の間に確定申告をして、納付します。
 確定申告の際、土地や家屋といった不動産を売却した際の譲渡所得には、給与所得や年金所得など他の所得と分けて計算する分離課税で課税されます。手続きは、所得税などと一緒におこないます。
 不動産の譲渡所得税の対象には、土地や家屋だけでなく、借地権や耕作権といった土地に付属する権利も含まれます。日本国内にある不動産だけでなく、海外にある土地や別荘なども対象となります。

利益が出た時に支払う税金

 所得は、収入から経費をひいた額です。譲渡所得税は、不動産の売却によって生じた譲渡所得に課されます。売却額に課されるわけではありません。不動産を買った価格よりも随分安い金額で売ったといった場合には、譲渡所得はマイナスになりますから、売却によって収入があったように見えても、譲渡所得税を支払う必要はありません。

譲渡所得の計算方法

 譲渡所得は、不動産の取得費用(購入金額)と売却時に必要になった諸費用(譲渡費用)を、不動産の譲渡価額から引いて出します。
 課税対象となる譲渡所得金額の計算式は、次のようになります。
譲渡所得金額=譲渡価額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額

①譲渡価額:不動産の売却額+(固定資産税と都市計画税の清算金)
・不動産の売却額は、実際に売却した金額です。
・固定資産税と都市計画税の清算金は、売却後の期間に相当する金額を計算したものです。固定資産税と都市計画税は、1月1日時点の所有者が、1年分の税金を支払います。不動産を売却した時点以降の税金も、すでに売却者が支払ってしまっているため、売却後の期間分の税金を清算して、買い手が売り手に支払うことになります。

②取得費:購入金額-減価償却費
・購入金額は、不動産を購入した時点での購入金額です。
・減価償却費は、経年劣化した価値分を差し引く措置です。減価償却は、土地には適用されません。土地は年数がたっても価値が減るわけではないからです。建物の減価償却費は、償却率と経過年数を加味した計算式を使って計算します。減価償却率は、建物の構造や法定耐用年数によって変わってきます。
△取得費の計算には、概算法という方法もあります。上記の方法は、実額法ですが、どちらかのうち大きい方の額を使って、税額を計算します。概算法は、譲渡収入金額の5%です。

③譲渡費用:売却にかかった諸費用の合計
・土地や建物を売るために不動産屋さんなどに支払った仲介手数料など
・登記や登録のための費用
・売却者が支払った印紙税
・貸していた家屋などを売るために借家人に支払った立退料
・更地にするために建物を取り壊すなどした時の取壊し費用や建物の損失額
・譲渡のために測量した場合、かかった測量費用
・売る契約をしたものの、もっと有利な条件で他者に売るために最初の契約者に支払うことになった違約金
・借地権付きの家屋を売る際に、土地の持ち主の承諾をもらうために支払った名義書換のための費用
・売却した不動産の譲渡価額を上げるために資産の維持や管理のために必要とした費用

④特別控除額
 自分が住むために所有していた家屋や空き家となっていた不動産の相続といった場合には、特例措置があり、特別控除ができます。

譲渡所得の計算例

12年前に3500万円で購入したマンションを4000万円で売却したとします。購入時の価格3500万円のうち土地代は1500万円、建物が2000万円だったとします。購入時の費用は100万円で、土地の購入にかかった費用が40万円、建物分が60万円でした。売却にかかった諸費用の合計が120万円とします。
減価償却費は、建物の価格2000万円と建物分の購入費用60万円を足したものにかかります。マンションの償却率は0.015で、経過年数は12年で計算すると、2060万円×90%×0.015×12=333万7200円となります。取得費用は、購入金額と購入にかかった費用を足したものから減価償却費を引いて出します。この場合、3500万円+100万円-333万7200=3266万2800円です。
譲渡所得は、売却額から取得費用などを引いて出します。売却額4000万円-3266万2800円-120万円=613万7200円です。

譲渡所得税の計算方法

 譲渡所得税額は、譲渡所得金額に税率を掛けて出します。譲渡所得税の税率は、どのくらいの期間その不動産を所有していたか、売却した不動産が、自分が居住していたマイホームであったかどうかなどによって変わってきます。

譲渡所得税の税率

 譲渡所得税の税率は、所有期間が5年を超えているかどうかで異なります。売却した年の1月1日現在で土地の所有が5年を超えている場合、「長期譲渡所得」、5年に満たない場合には「短期譲渡所得」となります。2018年中に譲渡した場合、その不動産を2013年の3月に取得していれば、1月1日現在で考えると5年に満たないため、「短期譲渡所得」となります。
 長期譲渡所得の譲渡所得税率は15%、短期譲渡所得の所得税率は30%です。5年近いけれど、少し足りないという場合は、大きく税率が異なってくるので、売却時期をずらした方が税金面ではお得になります。

譲渡所得税の特例措置

 売却した不動産がマイホームの場合、税率や控除の特例措置があります。

①3,000万円の特別控除
 自分が住んでいる家屋や、家屋のある敷地や借地権を売却する場合には、住んでいた期間の長さに関わらず、3000万円の特別控除を受けられます。以前に住んでいた家屋や敷地でも、住まなくなった日から3年経つ日を含む年の12月31日までに売却すれば、同様の特別控除を受けられます。譲渡所得が3,000万円以下の場合は、特別控除額は、譲渡所得の金額になります。

②軽減税率の特例
 売却した年の1月1日現在で、自宅としていた不動産の所有期間が10年を超えている場合、軽減税率が適用されます。
長期譲渡所得税の軽減税率は、3,000万円の特別控除の特例を適用した譲渡所得金額が6000万円以下の場合10%、6000万円を超えている場合は15%となります。

③買換えの特例
 マイホームを売却した年の前年・当該年・翌年の3年間に、マイホームの買換えをした場合、一定の要件を満たすと、譲渡益の課税を繰り延べられる特例があります。要件は、譲渡価額が1億円以下、売った年の1月1日現在で所有期間が10年を超えていて、居住期間も10年以上といったものです。ただし、買い替えの特例は、上の二つの特例措置と一緒には適用できず、選択適用となります。

譲渡所得税の計算例

 上で譲渡所得を計算した、12年前に3500万円で購入したマンションを4000万円で売却した事例では、マイホームと特別控除を引くと、譲渡所得が0となるため、譲渡所得税は発生しません。
 仮に、譲渡所得が5800万円ある12年住んだマイホームを売却したとします。3000万円の特別控除を引いた残りの譲渡所得は2800万円、長期譲渡所得の税率は15%ですが、10年を超えたマイホームの軽減税率が適用されるので、税率は10%となります。この場合の、譲渡所得税は、2800万円×10%で、280万円となります。

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