不動産を相続するようなことをもあるのではないでしょうか。相続した不動産をもし売却したい場合は、売却する際の流れについて把握しておく必要があります。ここでは、相続した不動産を売却する際の流れについてご紹介しましょう。
相続した不動産のメリット・デメリット
相続した不動産は、賃貸すると賃料収入が入るというメリットがあります。しかし、メリットだけでなく次のようなデメリットがあるため注意しましょう。
維持するために固定資産税などの費用がかかる
固定資産税は、不動産を持っている場合に税金として課せられるもので、毎年評価額に対して1.4%を払う必要があります。
資産価値が下がる
不動産の資産価値は、そのままにしている期間が長くなるほど下がります。そのため、最初に本当に持っておくかを十分に考えて、売却する場合は早めに決心しましょう。
手間が管理するためにかかる
持っている不動産の資産価値を保つためには、掃除したり、草刈りしたりするというような管理をする必要があるため手間がかかります。
費用が維持するためにかかる
不動産を賃貸して入居者がいれば、賃料収入が入って維持する費用を賄うことができます。しかし、賃貸しても入居者がいないと、維持する費用の負担が大きくなります。
不動産を相続する際の流れ
相続が発生した時に困らないように、不動産を相続する際の流れについてご紹介しましょう。
相続が発生する
被相続人が死亡した場合は、死亡してから7日以内に死亡届を死亡診断書と一緒に役所に出します。死亡届は、病院で死亡すると医師が書いてくれますが、自宅などで死亡すると掛かりつけの病院で死亡診断書を書いてもらう必要があります。
遺言書があるか確認する
被相続人の遺言書があるかどうかで、大きくこの後の流れが違ってくるため注意しましょう。最もいいのは前もって遺言書があるかどうか分かっていることですが、なかなか難しいでしょう。一般的に、遺言書は、自宅の場合は普段使っていたタンスや机の引き出しなどに保管しており、貸金庫などに預けている場合はその中に保管しているでしょう。
また、公正証書遺言を作っていれば、「公正証書遺言検索システム」という公証役場にあるもので調べることができます。なお、遺言書は複製や偽造を防止するために「検認」手続きを家庭裁判所で行う必要があるので、勝手に開封しないようにしましょう。
法定相続人を調べて確定する
遺言書があれば、相続の手続きを遺言書の内容に従って進めます。遺言書がもしなければ、相続人に誰がなるのかを確定するために、被相続人が誕生してから死亡するまでの除籍謄本や戸籍謄本を入手して、親、子供、兄弟姉妹、養子、認知している子など親族になる全ての人を調べます。
相続する財産を調べて確定する
次に、相続する財産を調べます。相続する財産としては、不動産ではないものも一緒に調べる必要があります。大きな財産としては、一般的に不動産と預貯金です。財産がプラスのものであれば問題ありませんが、マイナスの借金や住宅ローンなども含まれます。財産はどのようなものがあるか、自宅や勤め先などを調べましょう。なお、財産のプラスのものからマイナスのものと葬式費用を差し引いたものについて、相続税がかかります。
遺産分割協議を行う
遺産分割協議というのは、遺産をどのように分けるかを相続人同士で行う会議です。この遺産分割協議は、全ての相続人の署名捺印が遺産分割協議書にあると、直接会って協議して決める必要は必ずしもありません。
遺産分割協議書を作る
遺産分割協議によって遺産を分ける内容が決まると、遺産分割協議書を作ります。特に、書式は決まっていませんが、建物や土地などは登記簿謄本に書かれているように、正しく書きましょう。なお、遺産分割協議書は、全ての相続人が署名捺印することが必要です。
遺産分割協議の場合は、次のようなことに注意しましょう。遺産分割協議は、法的な拘束はありません。また、期日もないので、十分に話し合いをして納得することが必要です。しかし、法的な拘束がないため、強制力がないことが考えられます。遺産分割協議書は、全ての相続人が最終的に署名捺印することが必要であるため、なかなか進まなければ、遺産分割調停を家庭裁判所に申し立てることも考えておきましょう。
相続登記を申請する
次に、相続した不動産の相続登記を申請します。不動産を相続すると、名義が被相続人になっていたものを相続人変える必要があります。不動産の名義を変える時の手続きは所有権移転登記ですが、これの相続版が相続登記であると覚えておきましょう。
相続登記は、一般的に、専門家の司法書士などに頼む場合が多くありますが、自分で行う際は、必要な書類を次のような流れで法務局に出すと、相続登記は終わりです。
- ・相続する不動産の登記事項証明書を入手する
- ・遺産分割協議書を作る
- ・相続登記申請書を作る
- ・法務局あるいは郵送で相続登記を申請する
不動産を相続する際の費用
不動産を相続する際の費用としては、相続税と相続登記する際の費用があります。相続税は、固定資産税評価額という路線価や固定資産台帳などをベースに算出したものに対して課税され、1.4%の税率になります。自分で相続登記の手続きを行う場合は、次のような費用になります。
- ・登記事項証明書代は1物件あたり600円
- ・住民票、戸籍、評価証明書の取得代は数千円
- ・登録免許税は固定資産税の4/1000
なお、専門家の司法書士や弁護士などに手続きを頼むと、その費用がかかります。それぞれの専門家によって費用やサービス内容が異なるため、頼む際は十分に比べて決めましょう。
相続した不動産を売却する際の流れ
相続した不動産を売却する際は、次のような流れになります。
- ・相続登記を行う
- ・査定を依頼する
- ・不動産業者を決めて、媒介契約を結ぶ
- ・売出価格を決めて、販売活動を始める
- ・購入したい人が内覧したり、交渉したりする
- ・売買契約を結ぶ
- ・決済して不動産を引渡しする
一般的な不動産を売却する際と違う手続きは、初めの相続登記のみです。相続登記は、いつまでに行う必要があるというという期限が法律上ありません。しかし、この手続きが終わらないと売却できないため、手続きは早めに取りかかりましょう。
相続登記の手続きは、自分でもできますが、専門家の司法書士や弁護士士などに頼むこともできます。書類を作るのが得意でない、仕事が忙しいので役所に行く暇がない、などというような場合は、このような専門家に頼むことを考えてみましょう。
相続した不動産を売却する際にかかる費用
一般的な不動産を売却する際にかかる費用と相続した不動産を売却する際にかかる費用は、同じようなものです。さらに費用として大きなものは、仲介手数料という購入したい人を探してくれた報酬として不動産業者に払うものです。また、不動産を売却する際は、不動産譲渡所得税という売却する際の利益に対する税金がかかります。手数料率としては、不動産を売却した費用によって次のように上限が法律によって決められています。
- ・200万円以下の売買価格(税抜)の場合は、仲介手数料率の上限(税込)が5.4%
- ・200万円超400万円以下の売買価格(税抜)の場合は、仲介手数料率の上限(税込)が4.32%
- ・400万円超の売買価格(税抜)の場合は、仲介手数料率の上限(税込)が0.24%