不動産を売る際は、売って獲得した利益に対して税金がかかります。しかし、初めて不動産を売る際は、どのような税金がかかるか分からないでしょう。ここでは、不動産を売却する際の売却益にかかる税金についてご紹介しましょう。
不動産を売却する際にかかる税金の種類
不動産によってかかる税金は違います。税金は、買う時期によっても違うため、ある程度売する前から掴んでおくことが大切です。税金について十分に把握しておかなければ、非常に損する場合もあり得ます。しかし、税金については、詳細に税法上で決まっており、さらに税率がちょっとずつ年度によっても違う場合もあるので、普通の人には非常に内容が分かりにくくなっています。
ここでは、基本的に把握しておくべき税金についてご紹介しましょう。まず、不動産を売る際の税金としては、正式には、印紙税、登録免許税、所得税、復興所得税、住民税の5つの種類があります。しかし、印紙税と登録免許税は、売買契約する際に別の費用と一緒に請求されるので、税金を払っている感じがあまりしないかもしれません。
必ず印紙税と登録免許税は必要になる
印紙税と登録免許税は、不動産を売る時に売買契約を結んで所有権を移転する際に必ず必要になります。
印紙税
印紙税は、売買契約書に決まった金額の印紙を貼って、捺印すると納税が終わります。また、印紙税は、売買仲介を不動産業者に頼んで売買代金をもらった時の領収書も課税されます。なお、売買契約書に書かれている金額が10万円をオーバーする場合などは、印紙税の軽減措置が適用されます。この印紙税の軽減措置は2020年3月31日まで適用されます。なお、詳しいことについては、国税庁のホームページ(https://www.nta.go.jp/publication/pamph/inshi/pdf/0018003-093-01.pdf)などでチェックしておきましょう。
登録免許税
不動産を購入した場合は、建物や土地の面積や所在地、持ち主の住所などを登記簿という公の帳簿に記載する必要があります。登録免許税はこの登記する際に課税されるもので、税額を算出する際は税率を土地と建物の評価額のそれぞれにかけます。
なお、50㎡以上の住宅の床面積の場合は税率が軽くなる制度があり、適用される期間は建物については2020年3月31日まで、土地については2019年3月31日までになります。また、軽くなる登録免許税の税額が住宅の条件によっては違ってくるため、前もってチェックしておきましょう。
利益が出る場合には譲渡所得税と住民税が必要になる
不動産を売って利益が出る場合は、譲渡所得に利益がなるため所得税と住民税がかかります。なお、復興特別所得税という財源を東日本大震災の復興のために確保するためのものが、平成23年以降の25年間はプラスされます。譲渡所得についてのこのような税金は、分離課税と言われており、給与所得や事業所得と分けて算出されます。
譲渡所得は、不動産の譲渡価格から取得費と売却費をトータルしたものを差し引いて算出されます。なお、取得費としては、減価償却を不動産を持っている期間中に行っていることが必要です。また、自宅の不動産を売る場合は、3,000万円の特別控除が適用になります。譲渡所得として課税されるのは、特別控除を譲渡所得から差し引いたものになります。
不動産を売却する際にかかる税金についての注意点
次のような注意点が、不動産を売却の際にかかる税金についてはあります。不動産を売却する際は、十分に注意しましょう。
分離課税に譲渡所得税はなる
税金としては、基本的に分離課税と総合課税があります。総合課税としては、給与所得や事業所得、賃貸物件の家賃収入などがあります。また、株式投資の配当金なども総合課税に含まれます。カテゴリーが総合課税という同じものであるため、赤字がもし事業活動において出ている場合は、トータルの所得額をこれ以外の所得と合計することによって少なくすることができます。
節税する際もこれはよく使われるものですが、譲渡所得税という不動産を売却する際の譲渡益についての税金は分離課税になり総合課税ではありません。そのため、別の所得と不動産の譲渡所得は合計することはできません。給与所得者のサラリーマンなどは、特に注意する必要があります。
給与所得者の場合は、企業の年末調整で税務上の調整は行うため、基本的に確定申告をする必要はありません。しかし、税金が分離課税になる場合は、年末調整で調整ができないため、確定申告を自分で行うことが必要です。確定申告の期限は、譲渡益が出た時から直近の3月15日であるため、無申告をつい忘れて指摘されないようにしましょう。
不動産を平成21年、平成22年に購入した場合は特別控除が適用になる
平成21年あるいは平成22年に不動産を購入した人もいるのではないでしょうか。購入した期限が相当限定されるため、それほど該当する人はいないかもしれません。しかし、譲渡益がこのような不動産を売却して出た際は、特別控除が1,000万円まで最大では適用になります。
この時期はリーマンショックなどによって景気が悪くなっており、不動産のマーケットを活発にするために国としてこのような特例制度を設けています。購入した際よりも不動産が1,000万円高く売却できた場合でも、特別控除の1,000万円が適用されるため課税されなくなります。なお、この特別控除が適用になるのは次のような条件などがあります。
- ・不動産を平成21年1月1日~平成22年12月31日に取得している
- ・特別な間柄である夫婦や親子などから取得した不動産ではない
なお、生計が同じ親族、特別な関係がある法人なども特別な間柄としては含まれます。 - ・不動産は、相続、贈与、遺贈、交換などで取得したものでない
そのため、不動産を売却する際には、この特別控除についてぜひ一度確認してみましょう。なお、詳しいことについては、国税庁の「平成21年及び平成22年に取得した土地等を譲渡したときの1,000万円の特別控除」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3225.htm)で紹介されています。
どのような影響を消費税の増税は与えるか?
消費税は、5%から現在8%になっており、将来的には10%になるというように増税が段階的に継続しています。ここでは、不動産の売却に対してどのような影響を消費税の増税が与えるかについてご紹介しましょう。
まず、消費税の増税は、不動産を法人と売買する場合のみ関係してきます。不動産を個人同士で売買する場合は、消費税は営利のためではないため課税されません。そのため、消費税が増税されることはありません。一方、不動産を法人が売買する場合は、消費税の増税が関係してきます。
買い替えするために不動産を売買する場合は、古い不動産を売却する際には消費税は関係ありませんが、消費税が新しい不動産を購入する際の費用に課税されるので増税の影響があります。しかし、不動産業者に古い不動産を売却する際に仲介してもらう場合は、仲介手数料が必要になります。消費税がこの仲介手数料には課税されるので、消費税が増税されるとその分多くなります。消費税であるため申告をする必要はありませんが、一定の影響をトータルの不動産を売却する際の費用に与えるため注意しておきましょう。