愛媛県の相続した一戸建て(築古・中古)、マンション、土地それぞれの売却相場と動向について2022年全般の動向を振り返りつつ、売却市場の特徴や2023年以降の予測を解説しています。
コンテンツ
愛媛県 中古一戸建て売却の2021年から現在までの売却動向と2023年の予測
愛媛県 中古一戸建ての販売価格推移
【表 2021年~2023年7月までの一戸建ての販売価格推移(単位:万円/月 )】
2021年はこれくらいで売れました
仲介 1,548万円で売れました 買取 1,084万円で売れました |
2022年はこれくらいで売れました
仲介 1,649万円で売れました 買取 1,154万円で売れました |
今これくらいで売れています
- 仲介 1,852万円で売れました
- 買取 1,296万円で売れました
愛媛県 売れた中古一戸建ての特徴を比較
愛媛県で売れた中古一戸建ての特徴を、年次で比較します。
2021年から2022年にかけて中古一戸建ての価格は上昇傾向でした。
【愛媛県で売れた中古一戸建ての特徴 年次推移】
売れた特徴 | 2022年 | 2021年 |
---|---|---|
築年数(平均) | 29.5年 | 30.4年 |
駅徒歩(平均) | 13.78分 | 13.47分 |
建物面積(平均) | 108.13㎡ | 109.47㎡ |
土地面積(平均) | 190.16㎡ | 184.11㎡ |
価格(平均) | 1,649万円 | 1,548万円 |
最寄駅 | 新居浜 | 新居浜 |
参照:国土交通省 不動産情報ライブラリ
・2023年度以降の一戸建て(築古・中古)需要予測
愛媛県の中古一戸建ての価格は上昇傾向にあり、この傾向は2023年以降も続くと見られています。
特に最寄駅から徒歩14分以内、そして土地面積が190㎡前後の物件が好まれており、築29年以上経っていても取引されているのが大きな特徴です。
ただし、愛媛県全域での需要は減少しており、需要が見込まれるのは中予地域と東予地域です。
中予地域では松山市を中心に、隣接する松前町や東温市、砥部町は松山市のベッドタウンとして一定の住宅ニーズがあります。
特に松前町は令和4年から令和5年にかけて、愛媛県内で唯一人口増加を記録しました。
また、東温市に2023年度に開通予定の「東温スマートIC」は、新規企業の進出や新たな雇用を生む可能性があり、これに伴い住宅需要も期待されます。
東予地域は松山市に次いで人口が多いエリアで、今治市や新居浜市、四国中央市などでは住宅ニーズが高いです。
瀬戸内工業地域での雇用機会が豊富であり、新たに開業した「イオンモール今治新都市」などの商業施設が地域の利便性を高めています。
また今後、中古一戸建て市場で期待されているのは移住者からの需要です。近年、愛媛県へ県外からの移住者が急増しています。
【愛媛県への移住者の推移】
年 | 移住者数 |
---|---|
平成25年 | 64名 |
令和2年 | 2,460名 |
令和3年 | 4,910名 |
令和4年 | 7,162名 |
平成25年から9年間で100倍以上、令和2年から令和4年の3年間で約3倍に増加しました。特徴的なのは20代・30代の若い世代が多く、令和4年では移住者数の半数以上を占めていました。
愛媛県庁企画振興部|令和4年度における移住者数・移住相談件数がまとまりました
移住当初は賃貸物件を選ぶかもしれませんが、地域に定着する際、大都市の物件価格と比較して手頃な中古一戸建ての購入を検討することは充分に考えられます。
今後の移住者数の動向に注目していきましょう。
愛媛県 中古マンション売却の2021年から現在までの売却動向と2023年の予測
愛媛県 中古マンションの販売価格推移
【表 2021年~2023年7月までの中古マンション販売価格推移(単位:万円/月 )】
2021年はこれくらいで売れました
仲介 1,667万円で売れました 買取 1,167万円で売れました |
2022年はこれくらいで売れました
仲介 1,625万円で売れました 買取 1,138万円で売れました |
今これくらいで売れています
- 仲介 1,923万円で売れました
- 買取 1,346万円で売れました
愛媛県 売れた中古マンションの特徴を比較
愛媛県で売れた中古マンションの特徴を、年次で比較します。
2021年から2022年にかけては、中古マンションの価格は横ばいで推移しています。
ただし、需要は松山市や今治市、新居浜市などに限定されています。
【愛媛県で売れた中古マンションの特徴 年次推移】
売れた特徴 | 2022年 | 2021年 |
---|---|---|
築年数(平均) | 24.3年 | 21.5年 |
駅徒歩(平均) | 8.91分 | 8.64分 |
専有面積(平均) | 68.92㎡ | 69.30㎡ |
価格(平均) | 1,625万円 | 1,667万円 |
最寄駅 | 新居浜 | 本町6丁目(松山市) |
参照:国土交通省 不動産情報ライブラリ
・2023年度以降の中古マンション需要予測
2022年に引き続き、2023年も愛媛県の中古マンションは安定的な需要が見込まれています。ただし、需要は松山市と東予地域に限定されており、ニーズも異なります。
松山市では、最寄駅から徒歩8分以内の66㎡を超える2LDK以上の物件が人気です。
一方、東予地域では最寄駅から徒歩15分以内に位置する70㎡以上の3LDK物件が多く取引されています。
松山市の中古マンション需要で注目されているのは、松山市外や郊外からの高齢者層の住み替えです。
郊外にある築古の一戸建ては生活に不便だったり、バリアフリー住宅ではなかったりします。そのため、松山市内の駅チカで利便性が高いマンションに住み替える高齢者層が一定数います。
また、「換金性が高い」「賃貸物件としても貸し出せる」など将来の相続のことを考えたマンション需要も見受けられます。
その結果、ファミリー層向けの中古マンションだけではなく、1LDKや2LDKのような少人数世帯向けの物件も活発に取引されているのが特徴です。
対照的に東予地域では、ファミリー層の需要が中心です。
東予地域は瀬戸内工業地域で働く方が多く、造船業が盛んな今治市や東予新産業都市の中心である新居浜市が位置しています。
工業地域で働くファミリー層が賃貸物件から中古マンションへの住み替えを考えることが多く、3LDK以上の物件がよく取引されています。
愛媛県全体としての中古マンションの需要は必ずしも高くはありませんが、特定の人が集まるエリアにおいては、その需要は非常に安定しているでしょう。
愛媛県 土地売却の2021年から現在までの売却動向と2023年の予測
愛媛県 土地の販売価格推移
【表 2021年~2023年7月までの土地の販売価格推移(単位:万円/月 )】
2021年はこれくらいで売れました
仲介 995万円で売れました 買取 696万円で売れました |
2022年はこれくらいで売れました
仲介 1,282万円で売れました 買取 897万円で売れました |
今これくらいで売れています
- 仲介 1,145万円で売れました
- 買取 802万円で売れました
愛媛県 売れた土地の特徴を比較
愛媛県で売れた土地の特徴を、年次で比較します。
2021年に下落した地価が2022年に入ると回復傾向にあります。
【愛媛県で売れた土地の特徴 年次推移】
売れた特徴 | 2022年 | 2021年 |
---|---|---|
駅徒歩(平均) | 14.60分 | 13.92分 |
面積(平均) | 211.09㎡ | 209.95㎡ |
価格(平均) | 1,282万円 | 995万円 |
最寄駅 | 新居浜 | 新居浜 |
参照:国土交通省 不動産情報ライブラリ
・2023年度以降の土地需要予測
愛媛県全体の土地の価格は回復傾向にあり、この流れは2023年も継続していく見込みです。
ただし、県内では地価の動きが一様でなく、中予地域や東予地域では安定や上昇の動きが見られるのに対し、南予地域では下落が顕著です。
中予地域では、特に松山市の中心部や道後地区が注目されています。平成28年頃からの地価の上昇や横ばいの動きが見られ、一番町周辺の再開発事業の動向が土地需要を高めています。
さらに、東温市の2023年開通予定の東温スマートIC周辺も土地需要が高まっているエリアです。すでに段ボール製造大手のレンゴーが工場移設を予定しているなど、東温スマートIC周辺には新規企業の進出が予想されています。
東予地域は瀬戸内工業地域や東予新産業都市といった工業地帯の存在により、工業関連の従業員の住宅地として一定の土地需要がすでにあります。
なかでも特徴的なのは、今治市に開業したイオンモール今治新都市や新居浜市のイオンモール新居浜は地域の利便性を高め、周辺の土地需要が継続的に高いことです。
一方で、南予地域では地価の下落が続いています。
人口減少により土地需要が減っているうえに、平成30年7月豪雨は地価に大きな影響を与えました。肱川の氾濫があった西予市や、土砂崩れのあった大洲市や宇和島市で、地価にマイナスの影響を及ぼしています。
愛媛県の不動産市況に関連する重要マクロデータの推移
・人口推移について
愛媛県の人口は令和5年9月時点で1,292,324人となっており、令和4年9月に比べて14,852人減少しました。平成2年の愛媛県の人口は150万人を超えていたので、年々減少しています。
市町村別で見ると、人口が増加しているのは、松前町だけです。松前町以外の市町村は、すべて人口減少しているのが、愛媛県の現状です。
・人口増減率について
令和4年から令和5年の愛媛県の人口増減率は「-1.14%」となり、各市町村は以下のとおりです。
【愛媛県内の増減率ベスト5】
市区町村 | 増減率 |
---|---|
松前町 | +0.21% |
東温市 | -0.26% |
砥部町 | -0.54% |
松山市 | -0.72% |
伊予市 | -0.81% |
【愛媛県内の増減率ワースト5】
市区町村 | 増減率 |
---|---|
伊方町 | -4.45% |
久万高原町 | -4.19% |
愛南町 | -3.02% |
鬼北町 | -2.83% |
内子町 | -2.36% |
愛媛県全体の傾向として、松山市に隣接する市町の人口は減少率が低く、松山市から離れた市町では人口減少率が高いです。
・年齢構成について
愛媛県の年齢構成は以下のとおりです。
【年齢3区分別人口の比較】
年齢3区分別 | 令和2年 人口(年齢構造係数) |
平成22年 人口(年齢構造係数) |
---|---|---|
年少人口 (0~14歳) |
154,420人 (11.6%) |
185,179人 (13.0%) |
生産年齢人口 (15~64歳) |
737,231人 (55.2%) |
858,991人 (60.4%) |
老齢人口 (65歳以上) |
443,190人 (33.2%) |
378,591人 (26.6%) |
日本全体の深刻な問題である少子高齢化は、愛媛県においても進行中です。
令和2年のデータによると久万高原町(49.7%)、伊方町(47.4%)、松野町(47.2%)は、老齢人口の割合が特に高いです。
一方で松山市(28.5%)、東温市(30.3%)、松前町(31.4%)などでは老齢人口の割合が比較的低い数字になっています。
・世帯数について
令和5年9月時点の愛媛県の世帯数は602,277世帯で、愛媛県全体の人口は減少していますが、世帯数は前年の令和4年より552世帯増加しました。
この傾向は1年だけのものではありません。
【世帯数及び1世帯あたりの人員の比較】
令和5年 | 平成25年 | |
---|---|---|
世帯数 | 602,277世帯 | 597,657世帯 |
世帯当たり人員 | 2.15人 | 2.35人 |
平成25年から令和5年の10年間で4,620世帯が増えていますが、世帯当たりの人員は減少しています。
参考:愛媛県庁 企画振興部|推計人口