「マンションを売却する際、値引き交渉をされたらどうすればいいの?」
「みんな値引きをしているの?交渉されたらすぐに値引きをした方がいいの?」
など、マンション売却における値引きについて悩んでいる人は、少なくありません。
値引き交渉はイレギュラーなことではなく、あたりまえのように発生します。
何の準備もしていないと、相手の言いなりになって、格安でマンションを手放すことになりかねません。
高く売却したいのであれば、値引き交渉のやり方や大事なポイントを知っておくことが不可欠です。
そこで本記事では、主に以下3点について、わかりやすく紹介しています。
- 値引きを見越した価格設定
- 強気で交渉に応じても良い場合
- 値引き交渉をされても高く売るための交渉術
この記事を読むことで、過剰な値引きを防ぎ、少しでも多くのお金を手元に残せるようになります。
これからマンション売却を考えている方は、ぜひ参考にしてください。
コンテンツ
実際、どれくらいの価格で成約しているのか
マンションを売却する場合、必ずといっていいほど値引き交渉があります。
売主からすれば、値引き交渉を受けるのは嬉しいことではありません。
値引きをすると、その分、手元に入ってくるお金が減ってしまうためです。
他方で、買主の立場からすれば少しでも安く買いたいと考えるため、値引き交渉をすることはあたりまえのことです。
少しでも価格が下がれば、頭金やローン借入額を減らすことができ、毎月の返済負担額も軽減できます。
実は、中古マンションを売却する場合、ほぼ確実に値引き交渉が行われており、売出し価格より安い金額で成約しているケースが多いです。
売出し価格と成約価格の差は物件によって異なりますが、売出し価格のおよそ7割〜9割の価格で成約していると言われています。
つまり、売主が決めた売出し価格が3,000万円であれば、値下げ後の成約価格は2,100万円〜2,700万円程度ということです。
売主の立場で考えると、最初から10%〜30%の値下げがあることを考慮してマンション売却をすることが大切です。
絶対に値引き交渉されるので、少し高めの金額で売り出す
マンションを売却する際には、値引き交渉があることを前提として高めの金額で売り出すことが大切です。
しかし、あまりにも高い金額で売り出すと内覧の希望も減り、買い手が見つからなくなります。
売出し価格を上げる場合は、適切な金額であることが重要です。
売出し価格のつけ方や注意点を知らないと、必要以上に安くなったり、売り時を逃したりしてしまいます。
早く高く売るためにも、以下3点に気をつけて売出し価格を決めるようにしましょう。
- おおむね売却希望額の10%程度を上乗せして売り出す
- あまりにも反応がない場合は高すぎるので価格を下げる
- ジワジワ下げると「まだ下がる」と思われて内覧申し込みが減る
ここからは、売出し価格のつけ方や注意点について紹介していきます。
おおむね売却希望額の10%程度を上乗せして売り出す
マンションを売却する際は、売却希望額に10%程度を上乗せして売り出しましょう。
前述の通り、値引き交渉の結果、売出し価格よりも10%以上安い価格で成約しているケースが多いためです。
本来の売却希望額で売り出すと、値引きで安くなり、希望より少ない金額しか手元に入ってきません。
売却希望額に10%程度上乗せをして売り出すことで、値引きをしても希望の金額を手に入れることができます。
3,000万円が売却希望額であれば3,300万円、5,000万円であれば5,500万円で売り出せば、満足のいく売却となるでしょう。
もし、値引き交渉がなかった場合は、「今週中に契約をするのであれば、なんとか50万円値引きをします」「買主さんがとても良い方なので、30万円はおまけします」と、こちらに有利に進めることもできます。
もちろん、値引きをせずに多くのお金を手にすることも可能です。
マンションを売却する場合は、多少の値引きをしてもいいように売却希望額に10%程度上乗せて売り出すようにしましょう。
あまりにも反応がない場合は高すぎるので価格を下げる
マンションを売却する場合は、値引きを考慮して少し高めの金額で売り出しをします。
ただし、あまりにも反応がない場合はすぐに値下げを検討しましょう。
相場よりも価格が高くなっている可能性があるからです。
通常、マンションの売り出しを始めて1ヵ月間は、多くの問い合わせが入ります。
新着物件として、WEBサイトの上位表示されたり、不動産会社が顧客に紹介をしてくれたりするためです。
そのため、売出し1ヶ月で何の反応もない場合は、価格が高すぎて選択肢から外されていることが考えられます。
売却希望額に10%上乗せをして反応がない場合は、上乗せの半分を値下げするなど、すぐに動きましょう。
反応がないまま放置しておくと、売り時を逃してしまいます。
もし、周辺相場を確認しても売却希望額が決して高くない場合は、価格以外のプロモーション方法などに原因があるかもしれません。
その場合は、不動産会社と話し合い、売出し方法を再考する必要があります。
高めの金額で売り出して、あまりにも反応がない場合は、価格を下げることを検討しましょう。
ジワジワ下げると「まだ下がる」と思われて内覧申し込みが減る
売出し価格を下げる場合は、ジワジワと少しずつ安くすると逆効果になることがあります。
「この前も値下げされていたので、まだ下がるかもしれない」と、検討者がさらなる値下げを期待するためです。
こうなると、検討者はすぐに購入判断をせず、「もう少し待とう」と考えるため、内覧の申し込みが減ってしまいます。」
マンションを売却するには、内覧で実物を確認してもらい、良い印象を持ってもらうことが必要です。
そのため、内覧の申し込みが減るにつれてマンションは売れづらくなります。
一方で、値下げ幅が大きいと必要以上に安くなってしまい、入ってくるお金が少なくなってしまいます。
売れ行きや売却益が変わるため、どれくらい値下げをするかは、慎重に決めなくてはいけません。
値下げをする場合は、不動産会社としっかり話し合い、金額を決めるようにしましょう。
強気で交渉に応じても良い場合一覧
ここで紹介する内容を知れば、必要以上に値引きをして、手元のキャッシュを減らすことを回避できます。
値引き交渉を受けたからといって、必ず10%〜30%値引きが必要というわけではありません。
物件の需要がある場合は、値引きどころか、値上げをしても売れる可能性があります。
次のようなケースでは、値引き交渉を受けても強気で応じても問題ありません。
- 売り出して数週間で数十件の内覧が入った時
- その地域が発展し始めて人気エリアになっている時
- 同じマンションからあまり部屋が売り出されない時
それぞれのケースについて、確認していきましょう。
売り出して数週間で数十件の内覧が入った時
強気で交渉に応じても良いケースの1つが、マンションを売り出して数週間で数十件の内覧申し込みが入った時です。
短期間の内に数十件もの内覧申し込みが入るということは、需要が高く人気物件であることを表します。
売出し価格を高くしているのにこれだけ需要があるということは、値下げをしなくても売れる可能性が高いです。
そのため、買主が値引き交渉をしてきたら、強気で応じるようにしましょう。
現在の価格で多くの需要が見込めるのに、わざわざ大幅に値下げをする必要はありません。
売れる価格で売らずに、値下げをするのは、売主にとって損でしかないためです。
仮に、強気で交渉に応じたことで希望者が諦めたとしても、すぐに次の顧客が見つかるでしょう。
売り出して数週間で数十件の内覧申し込みが入るような物件は、早く高く売ることができます。
一方で、1件も内覧申し込みが入らないような物件は、需要がないということなので、値引き交渉には積極的に応じていくことが大切です。
マンションも需給バランスで価格が決まるため、多くの需要が見込める場合は交渉に強気で応じましょう。
その地域が発展し始めて人気エリアになっている時
マンションがある地域が発展し始めて人気エリアになっている時は、強気で値引き交渉に応じても良いケースと言えます。
発展するということは、利便性が向上し、人が集まり、資産価値が高くなるためです。
多くの人が集まる場所は、賃貸や購入需要が高くなるため、相場は必ず上がります。
これまで以上の需要が見込めることから、大幅に値引きをしなくてもマンションを売ることができるでしょう。
地域発展となる主なきっかけには、次のようなものがあります。
- 近くに大型ショッピングモールができる
- 最寄り駅周辺が再開発になる
- 新たな駅ができる
- 大規模タワーマンションができる
- 自治体が魅力的な移住支援や子育て支援を始める
- 有名企業が移転してくる
- 近くに学校ができる
など、他にもさまざまなきっかけがあり、地域が発展をします。
今や大人気エリアである武蔵小杉なども、再開発や大規模タワーマンションの建設によって、一気に人気エリアの仲間入りをしました。
エリア全体の人気が高くなっている場合は、値引きをする必要はありません。
むしろ、値上げをしても売却できるでしょう。
それぐらい人気エリアというのは資産価値が高くなりますし、高値でも買いたい人が出てきます。
その地域が発展し始めて人気エリアになっている時は、値引き交渉に強気で応じてもまったく問題ありません。
同じマンションからあまり部屋が売り出されない時
同じマンションからあまり部屋が売り出されない時も、値引き交渉には強気で応じて問題ないでしょう。
買主としては他の部屋を選ぶことができませんし、1部屋だけであれば希少価値が高くなるためです。
一方で、同じマンションから複数の部屋が売りに出されている場合は要注意です。
多少こちらの部屋の方が安価だとしても、「もっと安い部屋が出るのではないか?」と思われ、敬遠される可能性が高いです。
また、価格比較もされるため、安易に上乗せをして売ることができません。
しかし、マンション内で他に売り出されている部屋がない場合は、買主も焦る上に、価格比較もされなくて済みます。
同じマンションから他に部屋が売り出されていない場合は、交渉にも強気で応じましょう。
売り出す前に、他の部屋が販売されていないかを確認するようにしてください。
値引きされても、高く売るための交渉術
ここで紹介する交渉術を知っていれば、過剰な値引きを防ぎ、高く売ることができます。
より多くのお金を手元に残せるようになるでしょう。
何も知らずに交渉をすると、相手の値引きに応じて本来より低い値段で売ってしまうか、交渉が決裂して売り時を逃すかのどちらかです。
そうならないために、値引きされても高く売るための4つの交渉術について紹介します。
- たくさんの人が内覧に来られていることをアピール
- 売却に急いでいないことをさりげなく伝える
- この金額ならすぐに決定できることを伝える
- エアコンや家具などのおまけをつけて希望額に近づける
これらの方法であれば、嫌味な言い方にならず、相手に角も立たないため、売却も上手くいく可能性が高いでしょう。
ぜひ実践してみてください。
たくさんの人が内覧に来られていることをアピール
値引きを迫られても、たくさんの人が内覧に来られていることをアピールすることで高く売ることができます。
他にもたくさん検討者がいることが伝わり、現在の価格でも売れることを認識してもらえるためです。
「値引きをしたい気持ちはあるのですが、嬉しいことに他にも多くの方が内覧に来ていて、前向きに検討してくれています。そのため、値引きをすることは難しいです…」
など、嫌味がないように伝えることで、買主も値引きを要求してこないようになるでしょう。
人気のある物件だということを理解してもらえば、値引きどころではなくなるためです。
「他の人が購入する前に、決断をしないといけない」と、焦りも生まれるでしょう。
ただし、実際にはまったく内覧申し込みがない状態でこのようなことを伝えてはいけません。
あとで嘘とバレたらクレームやトラブルになる可能性がありますし、悪い評判が広まる恐れもあります。
購入後に、「あの時、嘘をついて焦らされたので購入することになった。嘘がなければ、購入には至らなかった」など、訴えられる危険性も。
そのため、ある程度内覧申し込みが入っている場合に有効な方法です。
値引きを要求された場合は、たくさんの人が内覧に来ていることをアピールし、高く売るようにしましょう。
売却に急いでいないことをさりげなく伝える
売却を急いでいないことをさりげなく伝えるのも、値引き交渉を避けて高く売るための方法です。
売却に焦っていないことを理解してもらえれば、値引きしないことを遠回しに伝えることができます。
値引きを要求された場合は、
「1年〜2年かかっても、本当に欲しい人に買ってもらえればいいと思っています」
「今の価格で売れなければ、売るのをやめて住み続けようとも考えています」
など、さりげなく伝えましょう。
さりげなく伝えると説得力が増しますし、角も立たないため、相手も嫌な気持ちになりません。
多くの売主は、少しでも早くマンションを売却したいと考えています。
なぜなら、売却完了まで維持費がかかりますし、ローン返済も続くためです。
住み替え先を契約していて、その資金期日が近いこともあるでしょう。
そういった事情を知っている買主は、売主が焦っていることを逆手にとって、「300万円値引きしてくれたら、今週中に契約をします」など、値引き交渉をしてきます。
ですが、売却に焦っていないことを伝えれば足もとを見られることもありません。
交渉を受けた場合は、売却に急いでいないことをさりげなく伝えることで値引きを防ぎ、高く売ることができます。
この金額ならすぐに決定できることを伝える
値引きを要求された際、「特別に●●の金額なら大丈夫です。これ以上の値引きはありません」と、すぐに金額を伝えることで、さらなる値引き要求を防ぐこともできます。
たとえば、本来の売却希望額が3,300万円で売出し価格を3,500万円に設定していた場合に、買主から3,100万円への値引きを交渉されたとしましょう。
この際、「通常、値引き交渉は受けていません。そのため、3,100万円への値引きは無理です。しかし、●●さんがとても気に入ってくれているので、即決してくれるのであれば、特別に3,300万円まで値引きをしましょう」などと、伝えます。
このように、すぐに決断してくれることを引き合いに特別感を出して、売却希望額まで値引きをすれば、売主は何のデメリットもありません。
早く契約ができて、希望する金額が手元に入ってくるためです。
買主もそれほど嫌な気持ちにはならず、売主が提示した金額で契約を検討してくれるでしょう。
このように、具体的な数字を出して交渉することはとても大事です。
その際、勢いで金額を言うと後悔してしまいます。
事前に、交渉時にいくらまで値引きをするのか、どのような値引きの見せ方をするのか考えておきましょう。
また、値引きをする場合は、「即決」や「3日以内」「1週間以内」など、返事・契約の期限を設けることも大事です。
エアコンや家具などのおまけをつけて希望額に近づける
値引き交渉を受けた際、エアコンや家具などのおまけをつけて希望額に近づける方法もあります。
買主の希望金額まで価格を下げるのではなく、無料オプションとして家具や家電製品をつけてあげる方法です。
値引きよりも物品の方が安くつく可能性が高いため、売主はお金を多く残すことができます。
たとえば、売却希望額が3,300万円で売出し価格を3,500万円に設定していて、買主が3,300万円への値引きを要求している場合、100万円を値引きして、あとはエアコンや家具をプレゼントする方法です。
以下のような品をすべてプレゼントしても、30万円前後で済むでしょう。
- エアコン
- 液晶テレビ
- ロボット掃除機
- 空気清浄機
- 食器棚
- テレビ台
しかし、受け取った側は、たくさんプレゼントを受け取り、得した気持ちになります。
まさか、30万円程度で済むとは考えてもいないはずです。
「値引きは100万円が限界です。しかし●●さんには、特別にこれらの家電・家具をプレゼントしますので、決断してもらえないでしょうか」
と伝えることで、純粋に値引きに応じるよりも高く売ることができます。
買主の値引きに応じたら200万円の値引きだったところを、100万円の値引き+30万円相当のプレゼントで済ませることができるのです。
プレゼントは多くの買主が喜んでくれるため、効果的な方法と言えます。
交渉時の味方は不動産会社だけ
値引き交渉をする際、売主の味方になるのは不動産会社だけと覚えておきましょう。
不動産会社は仲介手数料が報酬となるため、可能な限り高く売りたいと考えているからです。
不動産会社の仲介手数料は「売買価格×3%+6万円+消費税」が上限で、売主と買主の双方が支払うお金です。
仮に、売買価格が3,000万円であれば、仲介手数料は約105万円となり、双方合わせて約210万円になります。
値引きによって売買価格が2,700万円になれば、仲介手数料は約95万円、双方合わせて約190万円まで下がるため、業者にとっては痛手です。
そのため不動産会社は、少しでも高く売れるように努力してくれます。
ただし、相場を無視した高値を設定することはありません。
値引き交渉を受けた際に結果がどうなるかは、売主だけでなく不動産会社の対応によっても変わります。
不動産会社は、普段から買主と密にコンタクトをとっているため、どんな提案や話をしているかで相手の出方も変わるものです。
優秀で信頼できる不動産会社であれば、売主も買主も双方が満足できるよう、普段から提案や話をしています。
しかし、信頼できない不動産会社だと、少しでも売りやすくするために、買主と一緒に値引きを要求してくることがあるので厄介です。
そのため、いかに信頼できる優秀な不動産会社を選べるかで、マンション売却に満足できるか変わってきます。
不動産会社を選ぶ際は、イエウールなどの一括査定サイトを利用し、複数業者を比較するようにしましょう。
最初から1社に絞ってしまうと、業者選びに失敗する可能性があります。
一括査定サイトは利用料も無料なので、必ず活用して、より良い業者を選びましょう。
そうすることで、少しでも高く売ることができます。
まとめ
ここでは、値引きを見越した価格設定や高く売るための交渉術、強気で交渉に応じても良いケースなどについて紹介しました。
この記事で紹介した大事なポイントをまとめると、次の5点が挙げられます。
- 成約価格は売出し価格の10%〜30%程度安くなっていることが多い
- 必ず値引き交渉されるため、値引きを見越した価格設定にすること
- 内覧申し込みが多いなど、物件の人気が高い場合は強気で交渉に応じる
- 値引き交渉をされても高く売るための方法を用意しておくこと
- 値引き交渉の準備をして、信頼できる不動産会社をパートナーにすれば高く売却できる
これからマンション売却を考えている方は、ここで紹介した内容を参考にして、少しでも高く売却をしましょう。
「マンション売却で値引き交渉は絶対にある」という考えで準備をしておくことが大事です。
まずは、信頼できる不動産会社選びから始めましょう。