「うちのマンションは騒音があるので、売れるかどうか心配」
「騒音があるマンションを売ると、あとでトラブルになりそう」
など、騒音があるマンションを売る方法やトラブル回避の術について、詳しく知りたいと考える人は多いです。
騒音があるマンションは、売却価格が安くなったり、クレーム等発生する可能性があるので無理はありません。
しかし、適切に対処をして売り方を工夫すれば、早期かつ高値の良い条件で売ることも可能です。
逆に、対処法や売り方を知らなければ、マンションが売れ残ったり、売れてもトラブルに発展することが考えられます。
そこで本記事では、以下2つのポイントについて見ていきましょう。
- 騒音がある場合の対処法や考え方
- 騒音があるマンションを売る時のポイント
この記事を読むことで、騒音があるマンションも安心して売却できるようになりますので、参考にしてください。
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まず「隠し通す」ことは無理なことを理解する必要がある
騒音が理由でマンションを売る時は、くれぐれも、隠そうとしないでください。
「隠せばバレないかもしれない」「騒音を知られると価格が安くなってしまう」などの理由で、騒音を隠そうとしても無理です。
騒音は、入居者が変わっても消えないものですし、わずかな騒音でも気づくからです。
売主は隠し通せると思っていたとしても、買主を騙すことはできません。
特に購入して間もない頃は、物件に異常がないか気にするため、わずかな傷や汚れ、音などに対して敏感です。
隠していて見つかった場合は、売主に対する心象もかなり悪いものになるでしょう。
マンション売買には告知義務があり、騒音においても義務が発生する場合があります。
また、騒音で瑕疵担保責任が認められることがあるため、売主が騒音を隠すことに何らメリットはありません。
過去の判例を見ても、騒音で瑕疵担保責任(環境的瑕疵)が認められているケースがあります。
そのため、騒音を隠して買主にバレた場合は、損害賠償や契約解除を求められる可能性があります。
損害賠償の場合は、補修費等、多額の費用を支払うことになるでしょう。
「騒音を隠し通そうとしても無理」ということを理解し、買主に対して、しっかりと告知することが大事です。
騒音が理由で、売買価格が下がったとしても仕方がありません。
告知義務とは
不動産売買の際に、売主が買主や不動産会社に伝えなくてはいけない情報や瑕疵のこと。たとえば、物件に欠陥がある場合は必ず伝えなくてはいけない。
瑕疵担保責任とは
瑕疵とは欠陥のこと。物件を購入した時点では明らかにされていない、隠れた瑕疵が見つかった場合に売主が負う責任。買主は売主に対して損害賠償や契約解除を求めることができる。瑕疵には物理的瑕疵(シロアリ、雨漏りなど)、法律的瑕疵(接道義務など)、心理的瑕疵(火事や孤独死など)、環境的瑕疵(悪臭や騒音など)の4種類がある。瑕疵担保責任期間は新築だと10年間、中古の場合は業者だと2年以上、個人だと1ヶ月〜3ヶ月が一般的。
「騒音」を告知しないとどうなるか
マンションの騒音は、必ず告知しないといけないわけではありません。
というのも、騒音については、程度によって告知義務の範囲となる場合と、そうでない場合があるためです。
たとえば、上の階から聞こえる足音や、隣の部屋から聞こえる喧嘩の声や赤ちゃんの泣き声などは、一般的に告知義務の範囲としては考えられません。
なぜなら、これらの騒音については、売主の主観である要素が強いためです。
しかし、非常に騒音がうるさい場合や、騒音が原因でトラブルが発生しているケースなどは、告知義務の範囲として考えられることが多くあります。
もし、マンションの騒音が告知義務の範囲に該当するような場合は、必ず買主や不動産会社に伝えなくてはいけません。
瑕疵があることを知りながら、告知しなかった場合は告知義務違反になります。
告知義務違反になれば、買主や不動産会社から、契約解除や損害賠償請求、売買代金の全額返還などを求められる可能性が高いです。
また、売主の心象も悪くなり、場合によっては、近所や全国に行いの悪さが広まることになるでしょう。
仮に、告知義務の範囲として考えられない騒音であっても、買主の怒りが収まらず、クレームや裁判など、何らかのアクションを起こされる可能性があります。
些細な騒音でも、できる限り買主には説明をするべきです。
- 「昼間、窓を開けている時は、近くの幼稚園から子供の声が聞こえます」
- 「上の階に小さい子供がいるため、走り回っている音が聞こえます」
- 「このマンションはファミリー層が多いので、赤ちゃんの泣き声が聞こえることは多いです」
- 「目の前に大通りがあるので、夜でも多少は車の音が聞こえます」
など、「言わなくてもわかるだろう」というような騒音・生活音についても、伝えましょう。
多くの場合、このような騒音が原因で購入判断が変わることはありません。
むしろ、「そこまで説明してくれる売主は信用できる」と、良い評価につながる可能性があります。
ここで紹介したように、騒音の告知をしないことは、デメリットでしかありません。
告知義務の範囲か否かで決めるのではなく、どのような騒音もきちんと買主に説明をしましょう。
まずは不動産会社に相談する必要がある
売却予定のマンションに、気になる騒音がある場合は、まずは不動産会社に相談をしましょう。
不動産会社に相談をすれば、告知義務の範囲内か否か、どのような告知方法がいいのか教えてくれます。
もし、不動産会社に相談をして、「何とか隠し通しましょう」「騒音はありますが、黙って高値で売りましょう」など、無理やり売ろうとする場合は、別の業者に依頼した方がいいでしょう。
自社の利益しか考えていない、信頼できない悪質な業者の可能性が高いためです。
このような不動産会社に依頼をしても、売主・買主どちらにも良い結果は得られません。
騒音があるマンションに限ったことではありませんが、売却を成功させるには優秀で信頼できる不動産会社の存在が必要不可欠です。
優秀で信頼できる不動産会社を選ぶためにも、複数の業者で比較をするようにしてください。
不動産会社によって次の要素が異なるため、多くの業者から選ぶことが大切です。
- 実績
- 得意エリア
- 得意物件
- 営業マンの質
- 売却価格
- プロモーション方法
- 仲介手数料
「名前を聞いたことがあるから」「近所の不動産会社だから」など、安易な理由で不動産会社を決めてしまうと、後悔することになるでしょう。
不動産会社が違うだけで、売却金額が100万円以上安くなったり、売却期間が2ヶ月以上長くなったりするためです。
たくさんの不動産会社に相談をして、比較した上で、依頼先を決めるようにしてください。
複数業者を比較する際は、一括査定サイトが便利です。
一括査定サイトは、利用料が無料で、1度の問い合わせで複数業者に相談や資料請求、査定依頼を出すことができます。
大手一括査定サイトのイエウールであれば、全国1,600社以上に対応していて、クレームが多い悪徳業者は排除してあるため、初めての方でも安心です。
イエウールで複数業者に問い合わせをして、1度、各社の担当者に来てもらうといいでしょう。
騒音について相談が必要ですし、売却を成功させるためにも、信頼できる不動産会社を見つけてください。
日常生活に支障がでる騒音ってどういう音(デシベルの基準等)
日常生活に支障がでる騒音とは、どのような音なのでしょうか。
先に紹介したとおり、音の感じ方は人によって違い、主観による要素も大きいものです。
そのため、同じ騒音でも、うるさいと感じる人もいれば、まったく気にならない人もいます。
そこで押さえておきたいのが、環境省が公表している数値です。
環境省では、気にならない音を以下の基準値(デシベル)で表しています。
昼間:55デシベル以下
夜 :45デシベル以下
これらの数値を1つのラインとして考え、該当する音であれば、うるさいと感じる人は少ないと捉えることが可能です。
とはいえ、「どんな音がどれくらいのボリューム(デシベル)かわからない」という人も多いでしょう。
そこで、日常生活で聞こえる音の大きさを、以下にまとめていますので、参考にしてください。
車のクラクション音(2m以内):110デシベル
電車が通過するガード下の音:100デシベル
犬の鳴き声(5m以内):90デシベル
人の話し声(大声):90デシベル
ピアノの音(1m以内):80デシベル
電車の車内:80デシベル
掃除機の音(1m以内):60デシベル
トイレの洗浄音(2m以内):60デシベル
エアコンの室外機の音:50デシベル
子供が走り回る音:60デシベル
日常でよく聞く音も、上記のように大きなボリュームです。
しかし、これらのボリュームは、あくまでも近くで発生した場合の数値になります。
マンションの場合は、床や天井、壁やサッシで仕切られているため、室内で聞こえるボリュームはもっと小さいです。
マンションの遮音性能が高いほど、室内で聞こえる音は小さくなります。
一概には言えませんが、築年数が古い中古マンションよりも、築年数が浅いマンションの方が性能が高いため、小さく感じられるでしょう。
つまり、マンション築年数が浅く、性能が高いマンションであれば、騒音トラブルは発生しにくいということです。
売却予定のマンション性能が高い場合は、その点をアピールしてもいいでしょう。
騒音があるマンションを売る時のポイント
ここで紹介する5つのポイントを知っておけば、騒音があるマンションでも早く高く売ることができます。
騒音があるマンションでも、売り方を工夫するだけで、売買確率を高めることができるためです。
最適な売り方を知らないと、早く高く売れないどころか、売買後に騒音に関するクレームが発生してしまいます。
騒音など問題を抱えているマンションは、普通に売っていては良い結果は得られません。
以下は、騒音があるマンションを売る時の5つのポイントです。
- 管理会社に相談して騒音がなくなるように努める
- 防音カーテンなどの防音対策をしてみる
- どういう騒音でどの時間に聞こえるかなどまとめる
- 可能であれば購入予定者に聞いてもらう
- 売買契約書などに騒音に関する条項を入れる
これらのポイントについて、1つずつ確認していきましょう。
管理会社に相談して騒音がなくなるように努める
騒音があるマンションを売る場合は、事前に管理会社へ相談をして、騒音がなくなるように努めましょう。
管理会社に相談をすれば、騒音が収まる可能性があるためです。
「夜遅くに隣の部屋から楽器の演奏音が聞こえる」
「夜中に上の階からドスンドスンと聞こえて眠れない」
など、騒音の原因がわかっている場合は、管理会社に連絡をすることが効果的な対処法になります。
管理会社に相談をすれば、騒音対応に関する経験やノウハウもあるため、上手に対処してくれます。
具体的には、以下のような対応をしてくれるでしょう。
- マンションの掲示板を使って騒音に関する注意喚起(部屋や人は特定せず)
- 騒音の原因となる住民に直接注意をする
- 防音シートなど騒音対策を施す
まずは、管理会社に相談をして、騒音が発生しない環境をつくることが大切です。
そうすれば、騒音問題のないマンションとして売ることができます。
防音カーテンなどの防音対策をしてみる
騒音があるマンションを売る時は、防音カーテンなどの防音対策をするのも1つの手です。
防音対策を施せば、室内での騒音の聞こえ方は、大きく改善されます。
騒音対策になる主な防音グッズは、次のとおりです。
防音カーテン
外からの騒音や室内の音漏れを防ぐ。遮音性の高い素材や織り方のカーテン。遮音テープと併用をすれば、さらに防音性を高めることができる。通常のカーテンより価格は高いが、外からの騒音が気になる時に効果的。
遮音テープ
遮音テープは、ドアの隙間やサッシに貼ることで、騒音や音漏れを防ぐ防音グッズ。どこにでも貼ることができ、外からの騒音を緩和できる。
遮音パネル・吸音パネル
遮音パネルは石膏ボードなど、吸音パネルはロックウールなどが使用されていて、騒音や音漏れを防ぐ効果が高い。隣の部屋からの騒音などに有効。
このような、防音グッズを使用すれば、騒音リスクを軽減できます。
また、自室からの音漏れも防げるため、騒音の原因になることも防ぐことが可能です。
これらの防音グッズを揃えるのに多少のコストはかかりますが、マンションの早期かつ高値での売却が期待できます。
買主からも感謝される可能性があるでしょう。
騒音があるマンションは、防音カーテンなどの防音対策をすることで、売りやすくなります。
どういう騒音でどの時間に聞こえるかなどまとめる
どういう音でどの時間に聞こえるかなど、騒音状況をまとめることも、騒音があるマンションを売る時のポイントになります。
買主としては、どんな騒音があるのか気になるものです。
騒音時間や発生音などの状況が明確であれば、心構えや対策もしやすくなります。
状況を伝えたからといって問題が解決されるわけではありませんが、一定の安心感を得られるでしょう。
以下のように、状況はできるだけ詳しくまとめるようにしてください。
その際、わずかな騒音でも載せておくと、買主からさらに信用を得ることができるでしょう。
- 「昼の13時〜14時頃は、近所の幼稚園から園児の声が聞こえてくる。毎週水曜・金曜は午前11時〜12時にも先生や幼児の声が聞こえる」
- 「上の階に小さい子供が2人いるため、走り回る音が聞こえる。日中は気にならないが、21時〜22時頃に聞こえてくることがある」
- 「隣の部屋から喧嘩をする声が聞こえる。多い時は週に2回程度。時間は23時〜24時頃」
- 「2部屋隣から楽器の演奏音が聞こえる。夜でも聞こえてきて、管理会社が注意をしても改善されていない」
騒音は、あとで言った・言わないのトラブルになりやすいため、しっかりと説明をすることが大事です。
場合によっては、環境的瑕疵に該当し、契約解除や損害賠償を求められてしまいます。
騒音があるマンションを少しでも早く高く売るためにも、騒音状況をまとめ、買主に説明ができるようにしてください。
可能であれば購入予定者に聞いてもらう
購入予定者に騒音を聞いてもらうことも、騒音問題を抱えるマンションを売るための方法です。
実際の騒音を聞かないと、売却した際に、クレームやトラブルに発展した可能性があります。
実際に騒音の度合いを聞いてもらうことで、トラブルを防ぐことができます。
もちろん、騒音を聞いてもらうことがマイナスに働くこともあるでしょう。
「しかし、納得してもらった上で購入してもらうことが大事です。
そうすれば、あとで言った・言わないのトラブルになることもありません。
騒音の種類や時間帯にもよりますが、可能であれば騒音を聞いてもらうようにしましょう。
売買契約書などに騒音に関する条項を入れる
騒音があるマンションを売る時は、売買契約書などに騒音に関する条項を入れましょう。
売買契約書や重要事項説明書に、騒音がある旨を盛り込むことで、契約時にあらためて告知ができます。
売買契約書等に盛り込むことで、買主への説明もしやすくなりますし、あとから「騒音について何も聞いていない」というクレームが発生することを回避可能です。
売買契約書や重要事項説明書に、騒音に関する内容を盛り込むかどうかは、不動産会社と事前に相談をして決めましょう。
特に、環境的瑕疵に該当するような騒音については、書類にも明記しておいた方が安心です。
トラブルを回避するためにも、売買契約書などに騒音に関する条項を入れることも検討してください。
まとめ
ここでは、騒音がある場合の対処法や考え方、マンションを売る時のポイントなどについて、紹介いたしました。
最後に、ここで紹介した大事なポイントを以下4点にまとめています。
- 騒音があることを隠してもすぐにバレる。何のメリットもないので隠さないこと
- 隠した場合、契約解除や損害賠償を求められる可能性がある
- 騒音があるマンションを売るために信頼できる不動産会社を見つけることが大事
- 騒音をなくす努力や軽減する工夫を行い、買主には丁寧に説明をすることが重要
騒音があるマンションの売却を考えている方は、ここで紹介した内容を参考にしてください。そして、良い結果を得るためにも、早速、一括査定サイトを使って不動産会社選びを始めましょう。